きみは宇宙でいちばんかわいい
「あっ、彩芭くん、こんにちは」
「どうも、コンニチワ。ごめん、暑いなか待たせて。どっか涼しいところ入ってくれててよかったのに」
「ううん、ぜんぜん待ってないから、大丈夫だよ」
「ほんと? ていうか、俺のほうが絶対早い自信あったんだけど、きなこちゃんっていつも何分前行動してんの?」
「や……なんとなく、そわそわして、いてもたってもいられなくて……」
勢いあまって白状してしまうと、彩芭くんは意外そうに目を見張りつつ、楽しげに声を上げて笑った。
また、バカにしている顔だ。
こちらは本当に身構えて来たというのに、そのライトさに、少しだけむっとする。
「言っとくけど、ほんとだからね。きのうなんか、ぜんぜん寝れなかったし、なに着てくのかも決められなくて、朝から鏡の前でファッションショーして……」
「へえ。そんなに楽しみにしてくれてたんだ?」
「きっ、緊張してたの。彩芭くんはこんなの慣れっこかもしれないけど、わたしは、休みの日に男の子とふたりで出かけるなんて、生まれてはじめてのことなんだよ」
「なにそれ? ぜってー嘘じゃん」
「嘘じゃないってば」
「織部柊とは?」