きみは宇宙でいちばんかわいい
間髪入れずに訊ねられて、さすがに、言葉に詰まってしまった。
「柊くんとは……そりゃ、もちろん出かけたことはあるけど、でも、あくまでもわたしたちは、幼なじみ……だから」
こんなことを自分で言わなくちゃいけないのが、どうにも情けない。
尻すぼみになっていく言葉を、彩芭くんはどこか遠くへ見送るみたいにして、「ふうん」と抑揚のない相槌をうった。
「じゃあ、きょうはきなこちゃんにとって、人生初のデートってことでいい?」
「だから、そう言って……」
なにか続くはずだった語尾が、そこで途切れてしまったのは、しょうがないと思う。
「きょう、めちゃめちゃ楽しみで寝れなかったのは、俺のほうだよ」
さっきわたしが言ったのと同じせりふを、わたしとは正反対の軽快な温度感で言った彩芭くんは、自然にわたしの手をとり、そっと握ったのだった。
強引に手首を掴まれ、彼に連れていかれる形で一緒に歩いたことなら、これまでにも何度かある。
だけど、こんなふうに手を繋いだのは、これがはじめてのことだ。
いっきに体温が上昇していくのがわかった。
触れている手のひらに、じんわりと汗がにじむ。
だけど、これは、高すぎる気温のせいなんかじゃない。