きみは宇宙でいちばんかわいい
「ほんとは、行きたいネイチャースポットもたくさんあったんだけど、さすがに暑すぎるから、きょうはアウトドアはナシってことで」
そう言った彩芭くんが向かったのは、近くにある複合型ショッピングモールだった。
だけど、決して、消去法でここへ来たわけではなさそうだ。
ゲートをくぐるなり、彩芭くんはワクワクを抑えられないといった様子で、わたしを連れたまま、館内マップの元へすっ飛んでいく。
「彩芭くん。もしかして、あえて、ここに来たかったの?」
「うん、そうだよ。俺、日本のショッピングモールってすげー好きなの。何でも売ってるし、超綺麗、超安全で、設備も完璧じゃん。マジで、冗談ぬきで、世界一だと思ってんだよね」
彩芭くんのこと、日本人とぜんぜん変わらないなぁ、と思う瞬間のほうが圧倒的に多いけど、ごくたまに、彼に、ものすごく強い外国人を感じてしまうときがある。
普段わたしたちが何気なく使っている、何の変哲もないショッピングモールに、こんなにも感心して、目を輝かせているなんて。
「じゃあ、きょうは彩芭くんの好きなお店、全部まわる?」
「えっ、マジで? いいの?」
「うん、もちろんだよ、せっかく来たんだもん。それに、彩芭くんの好きなものってどんなのか、わたしも気になっちゃう」
素直に喜んでくれるから、こっちまで嬉しくなった。
「オーケー。それじゃあ、きなこちゃん。まず、ここの回転ずしに、ランチしに行こうよ」