きみは宇宙でいちばんかわいい
「――ええと、ここが、その?」
「うん、そう。来たことある?」
来たことなんて、あるわけがないのだ。
アフタヌーンティーの本場・英国育ちの男の子に、次に連れていかれたのは、なんとも風格のある、どこか古びた感じの建物だった。
白い石造りが、なんだか、まるでお城みたい。
実は、ここの前を通ったことなら何度かあるのだけど、てっきり美術館かなにかだとばかり思いこんでいた。
わたしは一歩を踏みだすのさえためらっているというのに、彩芭くんはそんなのお構いなしで、我が物顔で入店していく。
置いてけぼりを食らいそうになったけど、ずっと手が繋がっていたおかげで、わたしもなんとか無事に店内に入ることができた。
きょろきょろ、そわそわしているうちに、気づけばあっというまに席へ通されている。
椅子にお尻をつけ、鞄を置いても、いっこうに落ち着くことができない。
こっそり周囲へ視線を配ってみると、真っ白なクロスのかけられた、重厚な正方形のテーブルを囲んでいるのは、見事にお洒落な人ばかりだった。
「ねえ、こんなカジュアルなワンピースで、大丈夫かな……?」
「ぜんぜん大丈夫だって」
気を遣って小声で話したのに、彩芭くんはというと、普通の声量で返事をしてくるから、まったく意味がなかった。