きみは宇宙でいちばんかわいい
「ていうか、めちゃくちゃかわいいじゃん、その服。すげー似合ってるよ。きょう、待ち合わせ場所できなこちゃんのこと見つけた瞬間から思ってたんだけど、言いそびれてた」
「ええっ? ま、また、そうやって、からかって」
「からかってないよ。本気で言ってる」
どこか真剣なトーンで言われて、不覚にも、どきっとしてしまう。
だけど、薄いくちびるの左端は、おもしろがっているのを隠そうともしないで、案の定ちいさく上を向いていた。
どうして、いつも、上手に対応できないのだろう。
こんなだから、彩芭くんにも、お兄ちゃんにも、やられっぱなしなのだな。
どこまでも情けない自分に、しょんぼりせずにいられなかったけど、気持ちが下がりきる前にウエイターさんがやって来てくれたので、助かった。
「お待たせいたしました。アフタヌーンティーセットでございます」
その言葉からほとんど間を置かず、テーブルいっぱいに広がったのは、まばゆささえ携えている、素敵な洋菓子の数々だった。
傍らにある、ガラス製のティーポットのなかで揺れている紅茶が、それらを引き立てるように、なんともいい香りを立ち昇らせている。
「うわあ……! すごい、かわいい」
「だろ?」
ウエイターさんが立ち去ったあと、生まれてはじめて見る光景を目の当たりにして、思わず感嘆の声を漏らしたわたしに、彩芭くんのほうも得意げな応答をした。