きみは宇宙でいちばんかわいい
「あ……」
「冗談ぬきで、けっこう頭に来たよ。ひょっとして、普段から自分のことああやって思ってんの? わたしなんか、って」
そう思っているのはきっと事実だから、否定できないけど、なんとなくいまは、上手に肯定することもできない。
咄嗟に、逃げるように、うつむいてしまう。
「あのさ、俺、そこまで暇じゃないわけ」
すると、短く息を吐いた彩芭くんが、どこかじれったそうに言った。
「単に、おもしろがって、遊ぶために? 女の子をデートに誘うとか、そんな最低なことは、さすがにしねーから」
さっきと同じような、落ち着いているのに、少し圧のある声だった。
また怒らせてしまったのかもしれない、と焦り、急いで顔を上げると、想像以上に近い場所で、しっかりと目が合った。
「純粋に、きなこちゃんとデートしたいと思ったから、きょう、誘ったんだよ。それ以外の理由なんかあるわけないだろ」
「……うん」
「ほんとにわかってんの?」
「は、はい」
「全然わかってねーな」
なぜか一方的にそうだと決めつけたかと思えば、膝立ちをした彩芭くんが、背筋を伸ばし、ぐっと顔を寄せてくる。
そして、ぺたり、と頬に手のひらを当てられたとき、あまりのことに、心臓が口から飛び出すかと思った。