きみは宇宙でいちばんかわいい
かわりに立っているのは、あの夜、梓ちゃんのお店で見かけた、あの女の子だ。
陶器のようにきめ細かい、真白の肌。
流水のように流れている、長い黒髪。
つややかに濡れている、ぽってりとした唇。
レース素材のワンピースからのぞくのは、どこか日本人離れした、長い手足。
あの日と違い、すっぴんだからか、少しナチュラルな印象はあるけど、いまわたしの目の前にいるのは、正真正銘、あの子で間違いなかった。
相変わらず、あまりの美しさに、吸いこまれてしまいそうになる。
「あの夜、きなこちゃんが会ったのは――俺だよ」
あまりに驚きすぎて、言葉も出ないどころか、呼吸さえ忘れる。
いま、いったい、なにが起こっているというの。
「言うつもりなかったんだけど、なんとなく、きなこちゃんには隠し通せなさそうだから、先手をうってネタバレしとこう、ってことで。実際、会っちゃってるわけだし」
驚かせてごめん、などと、かなりフランクに言われる。
なにか答えなければいけないことはわかっているのだけど、与えられた情報への感想を伝えられるほど、まだまだ、ぜんぜん、状況が飲みこめていないし、頭のなかは混乱しっぱなしだ。