きみは宇宙でいちばんかわいい


「ええ……と、つまり、彩芭くんは、本当は女の子だった、ってこと? ……んん? でも、男の子、だよね? あれ? どういうこと……?」

「結論から言うと、俺の自認してるジェンダーは男で、恋愛対象は女の子だけ。つまり俺は、普通に、いわゆる“普通”の、男だよ」


普通に、普通の?

そう言われても、いま、“普通”の女の子よりもずっとかわいい、こんな姿を目の前にして、へえ、そうなんだ、なんて、簡単に納得できそうもないのだけど……。


「これは、ただの趣味だよ。正確には、趣味というか、ファッションの一環」

「んん……?」

「んー、なんて言うかな。きなこちゃんもさ、きょうはワンピースだけど、ジーンズを穿く日だってあるだろ? それと同じで、俺も、基本は男だけど、たまに女の子のファッションを楽しむことがある、ってだけ」

「えっと……、うん。なんとなく、わかった、かも……?」

「前にも言ったことあるじゃん。イギリスのグランダが、俺のこと女の子みたいに扱ってくるんだ、って。それで、ちっちゃい頃から、日常的にこういうカッコさせられてきたせいで、自分のなかでもしっくりきてて、けっこう根付いちゃってんだよね。日本式の七五三も、男と、女、どっちもやらされたし……」


言いながら、スマホを叩いた彩芭くんが、実際に七五三の写真を見せてくれた。

もちろん、5歳のときに着ている羽織袴も素敵だけど、7歳のときに着ている女の子用の着物も、信じられないほどよく似合っている。

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