きみは宇宙でいちばんかわいい


以前、そんな話を聞いたときは、別世界だな、すごいな、と感心するばかりだったけど、世界どころか、彩芭くんは別の宇宙からやって来た特別な存在なんじゃないかと、いまはもう、本気で思った。


「まあ、でも、こういうのも、そろそろタイムリミットが近づいてる気がすんだけど。喉仏もハッキリ出てきたし、肩幅も広くなって、胸板もどんどん厚くなってきてるし……」

「ええ? でも、ぜんぜん、かわいいと思う。言われないと、ほんとに、男の子だなんてわからないくらい……」

「いや。実際、歳を重ねるごとに似合わなくなってってるよ。昔のほうが断然かわいかったもん、俺」


そんなせりふを、はっきり言われてしまって、びっくりした。

だけど、それ以上に、うらやましいとも思ってしまった。


さも当たり前かのように、自分に対して、自信があること。

なににも縛られず、そういう、自由な感性をもっていること。

その上で、男の子のそれであろうと、女の子のそれであろうと、好きなものを、好きなように身に着けられる、素晴らしいポテンシャルがあること。


こんなふうに生きられたらどんなに楽しいだろうって、ひとりの人間として、強い憧れを抱かずにいられない。

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