きみは宇宙でいちばんかわいい
「あーあ。せっかくなら、きなこちゃんには、俺の最盛期を見てほしかったなぁ」
心から残念そうに言いつつ、眉を下げている彩芭くんに、少し笑ってしまった。
いまでもこんなにかわいいのだから、最盛期とやらは、きっと本当にすごかったのだろうな。もしかすると、彩芭くんに本気で恋しちゃう男の子も、たくさんいたりして……
なんて、のんびり考えていた途中で、あまりにも重大なことに気がついてしまった。
あの女の子が、久遠彩芭くんだったということは、
つまり、柊くんの好きな女の子というのは、……ひょっとして。
「ええっ!?」
「え、なに?」
「い、いや……その、なんでも、ないよ……」
不思議そうに首を傾げる彩芭くんに気づかれないよう、呼吸を整える。
だけど、いつまでたっても、おかしな動悸がおさまってくれなくて、大変だ。
「あ、そうだ。自分からバラしといて何だけど、マジで、このことだけは、誰にも言わないでおいて。なに言われるかわかんねーし、きなこちゃんと俺だけの秘密ってことで」
「も、もちろん、だよ! 絶対に言いませんとも!」
逆に、こんなこと、世界中に言いふらしておいてくれと頼まれたとしても、できっこないと思う。
特に、柊くんにだけは、なんとしても気づかれないようにしなければいけない。
そんな謎の使命感に駆られてしまったことは、とてもじゃないけど、彩芭くんには言えなかった。