きみは宇宙でいちばんかわいい
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「ななちゃんっ、騎馬戦、もう始まっちゃうって!」


焦ったように声を上げた朝香ちゃんが、わたしの手首をがちっと掴んだ。

本当にびっくりする。
彼女は、その細い指先のどこに、こんなにも甚大な力を秘めているのだろう。


「ねえ、織部くんも騎手で出るんだよね?」

「うん、そう聞いてるけど……」

「久遠くんも騎手だから、いっしょに応援しにいこう? せっかくだし、見やすいところまで移動しようよ」


朝香ちゃんがどんどん人ごみをかき分けていくのに、わたしはもう、ついていくので精いっぱいだ。

高い位置でポニーテールしている長い髪がゆらゆら揺れるたび、太陽と共鳴するようにきらめいていて、後ろを歩きながら、何度も見とれた。



夏休みが明けた9月、その中旬ごろに行われる、毎年恒例の体育祭。

きょうはとうとう、その当日である。


なにを隠そう運動音痴だから、一年のなかでもトップクラスで苦手としているイベントなのだけど、今年はほんの少しだけ、例年とは違っているように思う。


なにせ、あの朝香ちゃんがわたしの隣にいて、ずっと一緒に行動してくれているのだ。

オールマイティで、もちろん運動が得意な彼女に触発されてしまい、棒引きや、玉入れなんかで、活躍できたかはどうであれ、たぶん、けっこうはりきってしまった。

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