きみは宇宙でいちばんかわいい


やばい!
しまった!
どうしよう!?

なんて、いまさらどんなに思ったとしても、事態は、すでに、取り返しがつかなくなっているわけで。


「あ、あの……あの、柊くん……?」


袖を引っぱってみても、名前を呼びかけてみても、柊くんはまったくの無反応だ。

ただひたすら、まっすぐ彩芭くんのポスターを見つめたまま、微動だにしない。


「……なな」


まばたきすら忘れていそうな横顔が、かすかにくちびるを震わせたのは、いったいどれくらい時間が経ったあとだろう。


「だいぶ前、姉ちゃんの店で、ななも、この女の子に、会ったことあるよな?」

「え、と……」

「覚えてない? 俺は、何回か、見かけた気がするんだけど……」


いまにも消え入りそうな音量でしゃべりながら、柊くんは顔面蒼白のまま、ふらふらと自分の教室へ吸いこまれていってしまった。


ああ、どうしよう。
本当にまずいことになってしまった。

さすがに、自分のバカさかげんに、嫌気が差す。


どうして、彩芭くんがミスコンに出ると宣言したとき、こうなってしまうことを、わたしは想像できなかったのだろう?

どうして、こんなに簡単なことに、わたしは気づくことができなかったのだろう?




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