きみは宇宙でいちばんかわいい
「白状する。ミスコンは、きなこちゃんが自分の魅力に気づく、ひとつのきっかけになってくれるんじゃないかと思って、俺が推薦した」
わざわざ言われなくても、そんなの、もうバレバレだった。
匿名の意味がないからと言って、いつまでたっても頑として認めてくれなかったくせに、ようやく教えてくれたと思ったら、こんなふうに真相を明かすなんて。
「……本当に、ひどい」
せっかく文句を垂れるチャンスだというのに、なんだか上手にできなくて、困るよ。
「でもさ、この淡いメイクも、セットした髪も、レースのワンピースも、自分に似合ってないなんて、いまは全然、思わないだろ?」
アイシャドウの載せ方、髪の巻き方、ワンピースの着こなし方。
これらは全部、この数週間のうちに、彩芭くんから教えてもらったことだ。
「少なくとも、俺は、そうだよ」
たしかに受け身だったかもしれないけど、決してわたしは、教わることを拒否していたわけじゃない。
熱心に勉強したのも、努力を重ねたのも、わたし自身が望んで、そうしてきたことだった。
その証拠に、すみれ色に染まった自分の指先を、いま、すごくかわいいと感じている。
「俺は、なな子がいちばん、かわいいと思うよ」
わたしなんかより断然かわいい女の子でいる、そんな姿で言われても、ぜんぜん説得力がないと思うのだけど。
でも、だからこそ、なぜか、たまらなく心が震えて、どうしようもなかった。