きみは宇宙でいちばんかわいい
「そもそも俺は、なながミスコンに出るなんて、いまだにありえないと思ってるから……」
眉を下げ、盛大なため息をついた幼なじみの一言が、グサッと胸に刺さる。
「うう……それは自分がいちばんよくわかってるよ……」
「違うって。なな自身を否定してるわけじゃなくて、昔っから、人前に出ることが一番苦手だっつってんじゃん。それに、何年も傍で見てきた分、いまどんだけななが緊張してるか、手に取るようにわかるんだよ。もう、俺のほうが胃が痛いからな」
そう言いながら、柊くんが、お腹をさするジェスチャーをしてみせた。
あまりに大げさなので、思わず少し笑ってしまう。
すると、「ちょっとは緊張とけた?」と、彼は首を傾げて笑いかけてくれたのだった。
「……うん、ありがとう」
世界でいちばん優しいのは、きっと、柊くんだと思う。
誰がなんと言おうと、わたしは絶対に、そう思う。
でも、朝からため息をついてばかりいる本当の理由は、緊張しているからなんかじゃない。
口が裂けても、言えない。
きのう、彩芭くんと、キスしてしまったこと。
誰にも、言えない。