きみは宇宙でいちばんかわいい


「――朝香ちゃん、優勝おめでとう!」

「ありがとう、ななちゃんっ」


やがて、日が暮れてきた頃、遂にミスコンの結果発表があった。


全校生徒の期待を裏切らず、今年の優勝は、小宮山朝香ちゃん。

そして、僅差で、なんと久遠彩芭くんが準優勝した。


「ななちゃんも、ほんとにおめでとう!」

「うう、ありがとう、いまだに信じられないよ……」


一方わたしはというと、恐縮きわまりないことに、第7位の着地だった。

上位半分以内に入れたことが不思議でたまらないけど、なんといっても名前が“なな子”だから、この順位に妙な運命を感じてしまって、本当に嬉しかった。


この時間は、わたしの人生にとって、きっとかけがえのない宝物になってくれる。

はじめは嫌でしょうがなかったはずなのに、終わってみれば、そんなふうにさえ思えてしまって、結果はどうであれ、よかったと思う。


そう。

ミスコンに出られたことを、わたしは本当に、よかったと思っているんだ。


そして、そのすべては、間違いなく、ひとりの男の子のおかげだった。


「あのね、ななちゃん。これから、わたし、久遠くんに気持ち伝えてくるね」


全行程が終わった舞台裏で、まだ候補者たちが周りにいるなか、朝香ちゃんがぐっと声をひそめて、突然そう言った。

思わず、少し離れた場所で談笑している彩芭くんに、ちらりと目くばせをしてしまう。

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