きみは宇宙でいちばんかわいい





「木原さーんっ」


文化祭フィナーレを迎える前、『どこにいる?』と連絡をくれた柊くんと落ち合うために校舎を彷徨っていたところ、後ろから声をかけられた。

背後を確認してみて、びっくりする。

ミスコンが始まる前、教室でひと悶着(?)あった二人組が、満面の笑みで立っていたのだ。


「お疲れさまぁ。7位おめでとう! 木原さんのステージ、見たよ。超よかった!」

「うんうん。声も、しぐさも、一生懸命な感じも、全部かわいくて、いちばんキュンときちゃった」

「うちら、思わず木原さんに投票したもんね」


交互にどんどんしゃべるので、こちらが口を挟む隙さえ見つからない。

一方的に重ねられていく褒め言葉は、明らかに過大評価な気がして、わたしはもう、ひたすら目をシロクロさせるしかなかった。


「そういえば、サッカー部の先輩たちが後ろに座ってたんだけど、『あの子だれ? かわいくね?』ってざわついてたよ」


最後に投下された、暴発した爆弾のような冷やかしには、さすがにひっくり返りそうになってしまったけど……。

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