きみは宇宙でいちばんかわいい


「あのさ……改めて、朝香ちゃんの引き立て役だとかなんだとか、失礼なこと言って、ごめんね」


だけど、わたしを冷やかすために、ふたりは声をかけてくれたわけではないのだと、すぐにわかった。


「木原さん、最高にかわいかったから、うちらの言ったことなんか、ほんっとーに気にしないでね」

「それを、どうしても、ちゃんと言っときたくてさ……。呼びとめちゃってごめんね」


ああ、そのことを伝えるためだけに、足を止めてくれたのかな。

ひょっとすると、この人ごみのなかを、わざわざ探してくれたのかもしれない。


「ううん……あの、本当に、ありがとう」


わたしの出番を見に来てくれただけじゃなく、そのうえ、もったいないほど褒めてくれたこと。

そして、こうして、優しい心遣いをくれていること。


その全部に対して、丁寧に、気持ちをこめて、お礼を言った。


そろそろフィナーレイベントが始まりそうなグラウンドへ向かうというふたりに、手を振りながら、やっぱりミスコンに出てよかったと、心の底から思った。

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