きみは宇宙でいちばんかわいい
どうしても、朝香ちゃんの顔は見ることができなかった。
「だってね、彩芭くんみたいに素敵な男の子が、わたしみたいに地味な子のことなんか好きになるわけないって、朝香ちゃんも思うでしょう? 結局、ネタみたいにされちゃってたし……。だから……その、恥ずかしくて、朝香ちゃんにも言えなかったんだ、ごめんね」
「――ななちゃん、どうしていつも、そうやって、線引きみたいなことするの?」
突然、震えた声が、夜空に弾けて、飛んだ。
「『朝香ちゃんとは違う、彩芭くんとは違う』って。『わたしなんか』って……。ななちゃん、これまでに何回も、そういうことを無意識のうちに口にしたり、態度に出したりしてるの、知ってる?」
朝香ちゃんは、すでに、ぼろぼろと泣いていた。
「言われた側は、そのたびに、距離を置かれてるような、拒絶されてるような気がするんだよ。すごく寂しくて、悲しい気持ちになるんだよ。それを、ななちゃんは、知ってる?」
だけど、その粒を拭うこともせず、感情をぶつけるみたいに、彼女はくちびるを動かしつづけた。
「わたしは、久遠くんの気持ちが、わかるよ。久遠くんが、ななちゃんを好きになったのも、ふられたって感じてるのも、すごくよくわかる。だってね、わたしも、ななちゃんのことが大好きで、でも、どこかで、ななちゃんには嫌われてるんだろうなって、思ってるから」