きみは宇宙でいちばんかわいい
「……ななちゃんは、全部に対して、優しすぎるよ」
やがて、立ってすらいられなくなり、膝から崩れ落ちたわたしを、そっと受け止めてくれたのは、ほかでもない朝香ちゃんだった。
「わたしが久遠くんを好きになったのも、久遠くんがななちゃんを好きになったのも、ななちゃんのせいじゃないよ。そんなのは、誰にも、どうしようもないことなんだよ。だから、ななちゃんが謝ることなんて、ひとつもない」
華奢でも、力強い腕に、ぎゅうっと抱きすくめられる。
「でも、それを全部わかりながら、ななちゃんの優しさにずっと甘えてて、ごめんね」
朝香ちゃんは、わたしの肩に顔をうずめながら、絞りだすような声で言った。
同じように、彼女の肩に顔を押しつけながら、ふるふるとかぶりを振って答えた。
「もっと早くななちゃんと話すべきだったのに、嫌われちゃうかもしれない……というか、もう嫌われてるかも、と思って、なんにも言えなかったのは、わたしのほうだよ」
「……わたしが、朝香ちゃんのこと、嫌いになんてなるわけないよ」
「そんなの、わたしも同じなの。ななちゃんのこと、わたしが、嫌いになるわけないの」