きみは宇宙でいちばんかわいい
「……まあ、ショックなのはわかるけど、自分が選ばれなかったことを、俺のせいにするなよ」
兄は、妹とは対照的に、とても落ち着きはらった声で、そう言った。
だけど、かえって火に油を注がれたように、かっと顔が熱くなる。
そうだ。
まったくもって、お兄ちゃんの言うとおりだ。
わたしは、選ばれなかった。
いつも、誰にも、選ばれない。
好きだった柊くんにも、
好きになった彩芭くんにも。
それどころか、そのふたりのほうが、こんな関係になっている。
だって、お兄ちゃんのスマホのなかにいるふたりは、どこからどう見ても、恋人どうしだった。
「お兄ちゃんに……ななの、なにが、わかるの?」
「なにがだよ」
お兄ちゃんが、さすがに鬱陶しそうに、すこし顔を歪めた。
「頭の良さも、運動神経の良さも、人当たりの良さも、要領の良さも、ぜんぶ持ってるお兄ちゃんに、なんにも持ってない、ななの気持ちなんて、絶対わからないよ」
兄妹喧嘩をして、勝てたことなんか、一度もない。
コテンパンにやられてしまった記憶しかない。