きみは宇宙でいちばんかわいい
「……できるよ、このくらい。柊くんって、わたしのこと何だと思ってるの」
「だって、昔は上手に揺らせなくて、いつも俺が背中押してただろ。悟朗くんに『こんなこともできないの?』って言われて、ななが泣いてたの、覚えてるよ」
それは、わたしだって、覚えている。
「うう……そう考えると、ほんとにわたしって、どれだけ柊くんに助けられながら成長してきたんだろうなぁ。感謝してもしきれないよ」
だって、それだけじゃないことも、全部、ちゃんと記憶に残っている。
どんなにお願いしても、いつまでもブランコを交代してくれないお兄ちゃんの意地悪に泣いていると、いつも決まって『こっちのブランコあいたよ』と、柊くんが譲ってくれた。
怖くてなかなか滑り台を下りられず、お兄ちゃんにバカにされて泣いていると、『だいじょうぶだよ』と、柊くんが下で手を広げて待っていてくれた。
お砂場で、頑張って作ったお山をお兄ちゃんに壊されて、わんわん泣いていると、『またいっしょにつくろう』と、柊くんが手伝ってくれた。
幼稚園に入っても、小学校に上がっても、中学生になっても、高校生のいまも、ずっと変わらず、当たり前に柊くんの優しさは傍にあって、わたしはそれに、本当に数えきれないくらい、助けられてきたのだ。