きみは宇宙でいちばんかわいい
「しゅ……柊くん、それは、つまり、どういう……?」
「どうも、こうも、そのまんま。近くにいすぎて、妹みたいだって勘違いしてたけど、実際はそうじゃなかったってことだよ」
彼は、なにを言っているのだろう。
いきなり、なんてことを言いだしたのだろう。
「俺は、ななが、好きだ。女の子として、好きなんだ」
だって、そんな心の準備なんかは、少しもできていなかったのに。
「で……でも、柊くんって、彩芭くんとデートしてたんじゃ……」
にわかには信じられず、うわごとのように口走ってしまうと、柊くんがぎょっとした。
正直に、お兄ちゃんから見せられた写真のことを告げる。
幼なじみは困ったように眉を下げ、それから、どこか諦めたように首をひねった。
「実は俺、女装した久遠のこと、てっきり女の子だと思いこんで、好きだったことがあるんだよ。久遠はそのことに気づいてたみたいで、でも、ほんとは俺がななを好きなことも、あいつは感じてたらしくてさ……。それで、『おまえが本当は誰を好きなのか教えてやる』って、わざわざ女装してきて」
ふたりはある休日、一日をかけて、じっくり“デート”したらしい。
「でも、あんなに綺麗にした久遠が隣にいても、思い出すのはななのことばっかりだった。これ、ななが好きそうだな、とか。ここ、ななと一緒に来たよな、とか。ほんと、そんなんばっかで、帰り際、『ちょっとは自覚した?』って、すげえ不機嫌な顔されたよ」