きみは宇宙でいちばんかわいい
なんとなく、そういう彩芭くんなら、想像できるかもしれない。
でも、たやすく想像できるからこそ、切なくてしょうがなくなる。
ひょっとすると、彩芭くんは、わたしの長い片想いを成就させるために、そんな行動を起こしてくれたんじゃないかって。
そういう、自分に都合のいい、勝手すぎる解釈をしてしまうから。
「わたしね、ほんとは、柊くんのことが好きだったの。ずっと変わらないでいてくれる柊くんのことが、大好きだったの。初恋だった。すごく長い、本当に長い、初恋だったよ」
十数年ものあいだ、どうにも口にできなかったことが、こんなにも簡単に言えた。
だって、もう、わたしはブランコを自分で揺らすことができるし、ためらうことなく滑り台を下りられるし、砂の山を壊されないよう、自力で守ることだってできる。
わたしは、もう、柊くんの優しさが傍になくても、大丈夫なのだと思う。
それでも涙があふれてしまうのは、そうなれたことを、ほんの少しだけ、寂しいとも感じているからだ。
「けど、過去形なのは、その気持ちが、もう変わったからなんだよな」
柊くんは、すべてを理解しているみたいに言った。