きみは宇宙でいちばんかわいい


「ななを変えたのは、久遠なんだろ?」


そして、静かに、そう続けた。

泣きながらうなずくことしかできない自分が、本当に情けない。


「ほんと、ななの言う通りだよ」

「え……」

「久遠がいるから、世界は変わっていく、って、ミスコンのスピーチのやつ。それを、あいつに言ったのは、ななだろ?」


柊くんは、質問の答えは求めていなさそうにしゃべりながら、ダウンジャケットのポケットから何かを取りだした。


出てきたのは、白い封筒のようなもの。

それをこちらに差しだすと、とても真剣な目をして、わたしを見たのだった。


「――なな。あいつ、きょうの昼すぎのフライトで、イギリスに帰るって」




< 260 / 285 >

この作品をシェア

pagetop