きみは宇宙でいちばんかわいい





お兄ちゃんの車の助手席で揺られているあいだ、柊くんが別れ際に渡してくれた、彩芭くんからの手紙を、何度も読み返していた。


日本語より、英語で書かれている部分のほうがずいぶん達筆だし、全体的に口語に近いような文章で、すごく彼らしい温度を感じる。

綴られている一文が、言葉が、文字が、まるで宝物のようだった。



こんなふうに、いつも、わたしは彼から貰ってばかりだ。

彩芭くんは、きっと、また、それは逆なのだと言うだろうけど。


それでも、わたしだって、めげずに言いたい。

叶うなら、伝わるまで、何度でも言わせてほしい。


わたしの世界を変えてくれたのは、久遠彩芭くんなんだって。



空港に到着するなり、車を飛び降り、無我夢中で人ごみをかき分けた。


世界中がクリスマス休暇に入っているからか、この時期の空港というのは、信じられないほど混みあっている。

それに、あの金色の髪を目印に見つけだそうにも、ここにそんな髪の人はごまんといるので、ちょっと無謀な気もする。


でも、自分でも不思議なくらい、絶対に会えるという確信があった。


「あ……」


見覚えのある後ろ姿が視界に飛びこんできたのは、まさに、その瞬間のこと。

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