きみは宇宙でいちばんかわいい
「彩芭くん、まだ、もうちょっと、時間ある?」
「ある、けど……。いや、ていうか、なんできなこちゃんが、ここに」
「彩芭くんに、言えてないことが、たくさんあるから」
息をきらし、声を弾ませながらも、懸命にしゃべった。
そして、さっき受け取ったばかりの手紙を見せるようにして、薄茶色の瞳の前に差しだした。
「ありがとうは、わたしのほうだよ」
ひっきりなしに、あとから、あとから、感情のすべてがこみ上がってくるせいで、いったい何から伝えればいいのか、さっぱりわからない。
「それと――わたしは、久遠彩芭くんのことが、好きです」
だからといって、これはちょっと、いろいろと、すっ飛ばしすぎてしまったかも。
だけど、訂正する部分がひとつもないので、撤回するというのも微妙だ。
彩芭くんは、しばらくぽかんと口を開けていた。
それから、何度かのまばたきのあとで、やっと我に返ったような顔をした。
「……さすがに、嘘だろ?」
「ええと……ごめんなさい、ほんとう、です」
「なんで……、そうだ、柊はどうしたんだよ? あいつ、きなこちゃんのこと、好きだって」
「うん、聞いたよ。柊くんには、今朝、好きって言ってもらったの」
あのとき、恋は奇跡なんだって、本当に思った。
好きになった人に、好きになってもらうこと。
その時間が、ぴったり重なりあうこと。
それは、いつも当たり前に起こることじゃなく、いくつもの奇跡が重なって生まれる、ものすごい幸福なんだって。