きみは宇宙でいちばんかわいい
「それでも、わたしは、彩芭くんのことが好き。今さらなのは、じゅうぶんわかってるけど、それでも、どうしても、伝えたくて……」
「ごめん、きなこちゃん。とりあえず抱きしめてもいい?」
彩芭くんは、こっちの言葉を遮り、急くように訊ねた。
そのくせ、わたしの答えなど待たず、有無を言わさないまま、それを実行したのだった。
力強い両腕にぎゅっと包みこまれながら、彩芭くんはやっぱり男の子なのだと、おかしな実感をしてしまう。
「……なあ。夢みたいで、ちょっと信じらんないんだけど、本気で言ってる?」
「……わたし、こんな嘘、絶対つかない」
「だよな。きなこちゃんが、こんなジョーク言うわけねーよ」
すぐ近くで鼓膜をくすぐる、嬉しそうに弾んだ声。
表情を見なくとも、いま彼が笑ってくれているのが、それだけで伝わってきた。
「知ってると思うけど、俺も、きなこちゃんが好き。もう、めちゃめちゃ、好き」
どこか噛みしめるように言いつつ、彩芭くんが、さらに腕に力を込めてくる。
「……うん、わたしも、好きです」
ぎこちないながらも、わたしもそう答えて、背中に腕をまわそうとした。
すると、いきなり、ふっと腕が緩み、今度はなぜか、まじまじと顔を覗きこまれていた。
「顔、よく見せて」
その視線に耐えられたのは、最初の数秒間のみで、すぐに恥ずかしくてたまらなくなってしまう。