きみは宇宙でいちばんかわいい
どうして、いまだに、手を伸ばすことができないのだろう。
どうして、こんなに、誰よりも近い場所にいるというのに。
できれば、柊くんにだけは、この気持ちを知られたくない。
それなのに、柊くんにだけは、知っておいてほしいと思う。
このままずっと、どんな形だとしても、柊くんの傍にいたい。
そのくせ、幼なじみとして停滞しつづけることを、怖いとも思っている。
こんなに苦しいなら、もう好きじゃなくなってしまいたい。
いっそ、最初から、好きになんてならなければよかった。
だけど、わたしにとって、柊くんを好きだと思うこの気持ちは、そう簡単に手放せない宝物で、柊くんと紡いでいる何気ない毎日は、絶対に壊したくない現実なのだ。
「――ふうん……」
ふと、久遠くんが息を吐くように声を漏らしたのが、聞こえた。
はっとして、あわてて顔を上げると、彼は、実に退屈そうに頬杖をつき、どこか別の場所へ視線をやってしまったのだった。
普段、学校にいるときは外しているはずの、耳たぶにくっついている青色のピアスが、店の間接照明の光を受けて、ちかちか、淡くまたたいている。