きみは宇宙でいちばんかわいい
そして、3人での勉強会をはじめてから、いったいどれくらいが経っただろう。
「――うわ」
メッセージの受信を伝える振動に反応し、スマホに目を落とした柊くんが、突然ひとりごとみたいに呟いた。
もはや自分のテスト対策に没頭していた、わたしや、久遠くんも、思わず顔を上げる。
「ふたりとも、ごめん。ちょっと、姉ちゃんから急な呼び出し食らった」
「この時間なら、また、お店のほう?」
「そう、いまから来いって。絶対、たいした用事じゃないとは思うけど」
いかにも面倒くさそうに渋い顔をしていても、姉から頼りにされていること自体は、まんざらでもなさそうだ。
柊くんは、久遠くんに対してもわかるように簡単な説明をしつつ、すでに荷物を片づけはじめている。
「ななも一緒に行くよな?」
「えっ」
「これから暗くなってくるし、ひとりで帰るの、ちょっと危ないだろ」
すごく嬉しい言葉だったけど、そんなことないよ、と言うつもりだった。
ここで唐突に、久遠くんをひとり置いてお店を出るというのは、さすがに気が引けてしまう。