きみは宇宙でいちばんかわいい
「――ななのこと、ヨロシク、だって」
しかし、次に彼が放ったのは、もう完全に、ぶうたれた声で。
「ふたり、つきあってんの?」
「えっ。ふ……ふたり、というのは」
「は? きなこちゃんと織部に決まってんじゃん。なにそのトボケかた。うぜーんだけど」
「ええっ?」
長い時間の猫かぶりからやっと解放されたからか、久遠彩芭くんは、なにやらとてつもなく不機嫌でいるようだ。
ふてくされた顔を隠そうともせず、左手で頬杖をつき、右手でストローをぐるぐるかき回している。
おかげで、左頬がぺしゃんこに潰されてしまっているし、グラスの中では溶けきった氷がベージュに濁って、あまり綺麗じゃない渦を作っていた。
「つきあってないよ。前も柊くんが説明してくれたでしょ、幼なじみだって」
「あいつはそう言ってた。でも、きなこちゃんからは、なんも聞いてない」
「そんな、わたしからって、言われても……」
「だって、きなこちゃんのほうは、ただの幼なじみだなんて思ってねーんだろ」
「えっ! な、なに、なにを」
「だから、好きなんだろ? あいつのこと」
まさに、クリティカルヒット。
いきなり核心を突かれて、どぎまぎしてしまう。