きみは宇宙でいちばんかわいい
そういえば朝香ちゃんにも、柊くんが好きだということ、すぐに見抜かれてしまったのだったっけ。
「そ……んなに、わたしって、わかりやすいかなぁ?」
「言っとくけど、地球上で気づいてないの、たぶんあいつだけだよ」
「ええっ」
本当にそうだとしたら、嬉しいような、悲しいような。
柊くんが鈍感なおかげで、わたしたちはいまでもずっと、仲良しの幼なじみでいられているのだろう。
でも、そのせいで、わたしたちはいまだにずっと、前進も、後退も、できないでいるのかもしれない。
そう思うと、なんだかとっても、複雑だ。
「なあ。好きだから、名前で呼んでんの? あいつのこと、シュウクン、って」
「ええ? 違うよ。これは、お互いに、昔から名前で呼びあってるだけだよ」
「ふうん……」
久遠くんは、理解してくれているような、それでいて、ぜんぜん納得いっていないような、むずかしい顔をして、くちびるをとがらせていた。
そして、しばし押し黙り、グラスの中の渦をじっと見つめていたかと思えば、なにかに弾かれたように、静かにわたしのほうへ目を上げたのだった。