170回、好きだと言ったら。



お兄ちゃんを知っているらしい佐久間さんは遠い目をしながらぽつりと呟いた。


「…アイツな、俺と小学校の頃からの同級生やねん。
いつも笑う変なヤツで、頭の回転早いわ人の心読んでくるわ、ほんま何やコイツっていうのが第一印象やな」

「確かに…お兄ちゃんいつも笑ってましたからね」

「何でか…知ってるか?」

「…そこまでは知らなくて」


お兄ちゃんはいつも笑っていた。

例えば怪我をして帰ってきても、どんな状況であろうとお兄ちゃんは笑ったままだった。


「沖宮はな、妹の話ばっかすんねんで?
昨日ご飯作ってくれた可愛かった、とか。
朝起こしてくれたときに昨日怪我したところを手当てしてくれた、とか。
アンタの自慢話ばっかやったわ」

「……お恥ずかしい限りで」

「でも…、話を聞いてるうちに分かってん。
何でアイツがいつも笑えてるか。
アンタが…沖宮を知らない間に笑顔にさせてたんや、って」

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