170回、好きだと言ったら。
○テルくんお友達出来ました
学校の下駄箱に着くと、嫌と言うほど感じる視線。
一つは好奇心に溢れたもの。
もう一つは―…、羨ましい、憎い、嫉妬といった悪意のあるものばかりだ。
テルくんは真っ黒の髪だけど、校則を無視して制服を着崩しているし、耳に穴を開けてピアスを二つつけている。
確かにテルくん、カッコイイよ。今まであたしは女の子に苛められたこともあったし、テルくんから離れてって怒られたこともある。
それでも―、あたしはテルくんの傍にいたいから。背筋を真っ直ぐ伸ばして歩くんだ。
「実衣、昼いつものとこな」
「…」
こくり、一度だけ頷いた。
学校では必要最低限、口を開かない。只、前だけを見つめるだけ。
テルくんの声を最後に、あたしは足を動かせた。
…お兄ちゃん、あたしは…間違っている?
らしくないあたしを見て幻滅するかなあ…?