170回、好きだと言ったら。
外に出てみれば既に日は沈み真っ暗だった。
星空がきらきらと輝いて、あたし達を照らしているようにも見える。
テルくんの手を借りてバイクに跨ると、テルくんはあたしの手に一度触れる。それから何事もなかったようにバイクを走らせた。
ねえ、テルくん。
あたしのお兄ちゃん、どんな人だったのか少しだけ分かった気がするよ。
潤さんのような人達に囲まれながら、きっと楽しそうだったと思う。
桃妃子さんは何にも興味を示さない、なんて言っていたけど。あの頃のお兄ちゃんは家に帰ってくるたびにあたしに言っていたよ。
《みーちゃん、やっぱライバルって面倒だけど面白いよね。
厄介だけどいたらいたで楽しいし…、まあ邪魔って言えばそうなんだけどさ》
お兄ちゃんも素直ではない人間だった。
それでも仲間のことを語るときは、いつも以上に機嫌がよかったんだ。