170回、好きだと言ったら。
何眠ってるヤツに考えてんだよ、と俺は一人苦笑した。
実衣は知らねぇんだろうな。
俺がこんなにも実衣が好きで、実衣と約束した170日後が楽しみで仕方ないということを。
…だけど、俺はその170日後、どうなっているのか分からない。
ごめんな、実衣。
俺は嘘つきになっちまうかも知れねぇ。
真っ白な実衣の頬に触れて、そのまま髪に手を伸ばす。少し痛んでいるが、実衣の綺麗な栗色の髪は好きだ。
何の汚れも知らない、実衣の大きな瞳が俺を映すたびに思う。
昔から俺の後ろばっか着いて来やがって。
その瞳に明らかな「好意」を映しながら、必死に思いを隠そうとする。
そんな実衣を見て、俺が何を思ったか。これも実衣は知らねぇんだろうな。