170回、好きだと言ったら。
そして―、実衣の兄貴が事故に遭った日。
俺はその現場にいた。
誰よりも先に知ってしまったのだ。
もう、助からないという現実を。
車に吹き飛ばされたアイツは血を流しながら虚ろな瞳に俺を映した。
ぜぇはぁ、とまるで俺のように息を途切れ途切れにさせる沖宮。
…てめぇが死んだら、誰が実衣を真正面から愛してやれんだよ。
俺はいつ死ぬか分からねぇ身体を持って産まれてしまったのに。五体満足に産まれたてめぇなら、実衣に好きだと言っても苦しめないってのに…!
《……て、るみち…後のこと、頼んだ、よ?
みー、ちゃ…んの、せいで、俺は、しんで、ないからさ…。おれ、もう…いえな、いけど…、言って……あげ、て。
愛して…る、んだ…ろ……?》
…言ってるじゃねぇか。
俺はいつ死ぬか分からねぇって。
《……ほんと、う、おくびょ…うだなあ…。
じゃあ……、生き、てみせな、よ…》
照道は死なないからさ、と最期に笑ってアイツは言ったんだ。