170回、好きだと言ったら。
顔が真っ赤になってしまったせいで、何を言っても無駄だと分かっている。
にやにやする潤さんを一度置いて、あたしは小野瀬さんに彼らを説明した。
「えっと、潤さんと桃妃子さんはあたしの幼馴染の知り合いなんだ。
前に会ったばかりでね」
「そうなんだ…! わたし、小野瀬 心と言います…!!」
「桃妃子見てみぃ。俺達に比べてえらい立派やろ?
挨拶もろくに出来んアンタと大違い―…」
桃妃子さんがかけていたサングラスが、弧を描いて潤さんの顔面に飛んでいった。
フン、と鼻で荒く息を吐いた桃妃子さんは、あたし達に視線を向け直して「行きましょう?」と声をかけた。
「あたた…、何や軽い冗談やろ? これやから鞠にも嫌われんねんで」
「あの文章バカの話はしないでよ…!
二度と思い出したくないんだから!」