170回、好きだと言ったら。
はは、と思わず口元を引きつらせた潤さんがあたしの腕を掴んだ。
「ほな、実衣ちゃん行くで。あんなん相手しとったら日が暮れるわ」
「あはは…仲良しでいいじゃないですか」
「そんなん言うんは、沖宮兄妹くらいとちゃう?」
「え、お兄ちゃんも同じことを?」
「アイツはなー…、もっとトゲのある言葉やったで。《仲良しなのはいいけどリア充ごっこやるなら帰っていいかな?》やったっけ」
「それは…何か代わりに謝ります、すみません……」
小野瀬さんに一度視線を向けて、潤さんのバイクに乗せてもらうと、テルくんとは違う大きな背中に戸惑った。
テルくんにはいつも遠慮なく背中に抱きつくけれど、相手は潤さんだ。
年上相手、しかも会って間もない人に…と悩んでいると、潤さんが「ほんま飽きへんわ」と楽しそうな声で呟いた。