170回、好きだと言ったら。
「あの…よろしければペットショップの場所まで連れて行ってくれませんか?」
「ペットショップ?
ああ、この階のですね。全然構いませんよ。僕、結構ここに来てるので」
「本当重ね重ね申し訳ありません…」
じゃあ、とまた人混みに足を向けた小鳥遊さんが振り返った。
「嫌でなければ迷子にならないように手をお借りしたいのですが…、よろしいですか?」
「あっ、はい!」
小鳥遊さんが少しだけ頬を緩ませて、あたしの手をぎゅっと握り締める。
テルくんとは全然違う、大きな手のひら。
冷たくて、今にも消えてしまいそうだ。
思わず力強く握り締めれば、小鳥遊さんが困り顔を浮かべながらも笑った。
「大丈夫ですよ、離しませんから」