170回、好きだと言ったら。
―午後12時35分、お昼休みの時間だ。
本当は小野瀬さんに誘われて一緒に食べたかったけど、どうしても譲れない約束があったためお断りさせてもらった。
「テルくんっ、お待たせっ!!!」
「……実衣、うるさい。こちとら15分待ってんだよ…」
「いひゃい、いひゃいよ! へふ、ふん!」
昇降口へ行けば、やっぱりテルくんが腕を組んで眠そうにしていた。
何故か分からないけど、頬を両側に伸ばされてあたしは涙目になる。それが面白かったのか、それとも頬を伸ばすことが楽しいのか、力を緩めてくれない。あ、でも飽きたのかようやく離してくれた。
「待たせちゃったのは悪いけど、いつもの場所で待っていてくれたらよかったのに…」
「……実衣、迷子になるだろ」
「なっ、ならないよ! もうこの学校に一年はいるし…」
上履きから革靴に履き替えながら言うと、既に歩き出したテルくんを慌てて追いかけた。