170回、好きだと言ったら。



随分と短くなった煙草を地面に落として踏み潰した飛澤さんはぎろりとあたしを睨んだ。


「知っているか、こんな言葉を。
《愛なんて所詮一時のもので、すぐに壊れてしまう》
これを言ったのは照道の父親だ」

「……そんなのテルくんが言わない限り、あたしは信じませんから!」

「聞け、俺はそんな事を言ってほしくて話したわけじゃない。
照道のことが好きだなんだ言っても、結局は壊れるもんだ。それでも照道が好きか?」

「当たり前…じゃないですか」

「それなら話が早い。こっちはな副総長が逃げ出してから、色々喧嘩を吹っかけるヤツが多くてイラついてんだ。
―照道を一週間後、一人でいるところを襲撃する」

「! 何言って…」

「それが嫌なら鞠―、俺達の副総長を連れて来い。連れて来ればお前がついた嘘も確定するけどな」


じゃあタイムリミットは一週間だ、と口角を上げて言った飛澤さんはバイクに跨る。
そのまま仲間を引き連れて去っていくのを見ると、足の力が抜けてしまった。


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