170回、好きだと言ったら。
○テルくん決心できました
どうやってあの後家に帰ったか分からない。
ただ、最後に見た小野瀬さんの表情が「心配」と言いたげだったのは今でも憶えている。
お母さんとお兄ちゃんのお仏壇の前に座ってまず深呼吸をした。
お線香に火をつけると、ゆらゆらと煙がその場を漂った。
「……お母さん、天国であたしのこと見ていますか?」
写真の中で笑うお母さんを見て、ちくりと胸が痛んだ。
「お兄ちゃん、あたし…テルくんを巻き込みたくないよ……。
小学生の時、中学生の時だってそう。テルくんはあたしが苛められるたびに駆けつけてくれたんだ…」
それなのに小鳥遊さんを騙して、飛澤さんのところへ連れて行くのも嫌だ。