170回、好きだと言ったら。
気を取り直して2ページ目を捲った。
そこに挟まれていた何かがばさばさと落ちてしまう。慌ててかき集めると、それが写真だと言う事に気づいた。
「……小さい頃のあたしだ」
どの写真にも必ずあたしがいて、それは幼稚園の時からお兄ちゃんが亡くなる数日前まであった。
一つ写真を拾い上げれば、そこには幼い頃のあたしとテルくんが映っている。お兄ちゃんよりもテルくんが殆どで、昔から無愛想なテルくんの表情に笑みが零れた。
プールに行った時であろう、一枚の写真は跳ねた水のシミが残っていた。
他にもお花見や海。珍しく浴衣を着て行った花火大会…懐かしいな。
お兄ちゃんは家に帰ることが少ない人だったけど、帰ってくるたびにどこかへ連れて行ってくれたのだ。
まさかこうして写真を残しているなんて、思っても見なかった。