170回、好きだと言ったら。
裏庭に向かえば、ベンチがちらほら設置されているけど、あたし達が座る場所はそこじゃない。
まるで裏路地のような日陰の場所が裏庭には存在して、その場所を知っている生徒は少ない。元々、この場所は先生達が休憩する場所だったみたいだけど、今では誰も寄り付かなくなっていた。
ハンカチを二枚取り出して、一つはテルくんの下へ引くと、もう一つはその隣へシワを伸ばして広げた。
テルくんは「準備いいな」と褒めてくれた。
やっぱりテルくんに褒められるのは、他の誰かに言われるよりもずっと嬉しい。
「あ、今日のお弁当にはテルくんの好きなアスパラ巻き入れておいたよ。
後はいつものばっかりだけど」
「…実衣、俺人参嫌いって言ったよな…?」
「て、テルくん頭ぐりぐりしないでっ!」
出た、テルくんの頭ぐりぐり攻撃…!
やられるとは思ったんだけど、でも人参には栄養がいっぱい詰まってるから…!