170回、好きだと言ったら。
――そして信先輩は《火鎖我族》を結成し、独りのまま仲間を率いた。
「もしかして…飛澤さんのこと…？？」
《信先輩は仲間を引き寄せる魅力が十分にあったにも関わらず、頭になれば喧嘩に負けたときプライドが傷つけられることを恐れた。
だから何代も頭を譲って―、結局また独りに戻ったとき、頭になるしかなかった》
「……」
《頭になった信先輩は俺にとある話を持ちかけてきた。
俺が“悪鬼実野族”を抜け出して信先輩のところへ行くか、それとも俺の親友―鞠に襲撃を仕掛けるか》
「えっ…、鞠って小鳥遊さんのこと…？」
《鞠は元々裕福な育ちだったから、喧嘩なんてそんなに経験していないはず。
だから迷うことなく、俺は悪鬼実野族を脱退した。多分、信先輩を助けたかったからかも知れない》
