170回、好きだと言ったら。



それからお兄ちゃんの決意が3行ほど書かれてあり、当時お兄ちゃんがどうして帰って来ないのか何となく察した。


お兄ちゃんが悪鬼実野族から抜け出した理由を知らないテルくんは、飛澤さんを少なからず好んではいないだろう。
だから、お兄ちゃんはテルくんと会わないためにも家に帰らなかった。



「……まさかお兄ちゃんと小鳥遊さんが知り合いだとは思わなかったけど。
小鳥遊さんの家に行った日、あたしの名前を聞いた瞬間…ちょっと驚いていたなあ」



あたしには男の人の気持ちなんて全く分からない。その時、それぞれがどんな決心をしたのかも。



「お兄ちゃん……、あたしも二人を守ってみせるよ。きっと、巻き込まないように」


お兄ちゃんがあたしに距離を置いたように。
あたしも、二人に距離を置こう。だけどテルくんはあたしを心配するだろうし、飛澤さんに持ちかけられた話を知れば、必ず怒ってくれるはずだ。


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