170回、好きだと言ったら。



でも、いつまでもお兄ちゃんやテルくんに守ってもらうあたしじゃ駄目なんだ。


薄汚れたノートをお仏壇に戻すと、あたしはポケットから携帯を取り出す。
着信履歴に残された《テルくん》の名を見つけると、会いたくてたまらなくなった。

また抱きしめて欲しいし、あたしの長年の思いだって伝えたい。


出来る事ならば、君の隣で生きる事を夢見ていたかった。


―プルルル…、


電話をかけて、3コール目。

いつも朝テルくんに電話をかけて起こすのが日常だった。

最近では何故か距離を置かれて、連絡すらも出来ていなかったけれども。


テルくんの寝ぼけた声を聞くのが、あたしは好きだったんだよ―…。


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