170回、好きだと言ったら。
《只今電波の届かないところにいるか……》
最近では聞き慣れてしまったアナウンスを聞いて、あたしは小さく息を吸って吐いた。
「もしもし、テルくん…あのね―」
この言葉を言えば、テルくんは解放される。
弱いあたしを守る為にいつも傍にいてくれたテルくん。
だけど、テルくんだって気づいていた。
暴走族の頭に立っている時点で、いつも狙われていることを。身近にいる人が巻き込まれることだって。
それを知っていた上で、あたしはテルくんの傍にいたかった。
思い返せば、テルくんは最近になってお兄ちゃんのように写真を撮り始めた。
ううん…、多分お兄ちゃんが死んでしまった去年からだろう。
どうしてそんなに思い出を残そうとするの?
テルくんもお兄ちゃんと同じ様に―、死んでしまうから…?