170回、好きだと言ったら。
○テルくん不器用な人がいました
―午後5時、《はちみつば》スーパー前にて。
珍しくスーツを着た小鳥遊さんがバイクに乗って現れた。
真っ黒なバイクは小鳥遊にぴったりだ。
少しだけ色を加えたほうがいいのではないかと思うほど、どこか寂しげなオーラもあったが何も言わないでおいた。
「すみません、待ちましたか?」
「いえっ…! 今来たところです…!!」
黒縁のメガネをかけた小鳥遊さんは胸を撫で下ろした。
それからあたしにヘルメットを渡すと「これ被ってください」と言う。
「あの…、前に会った時はバイクなんて乗ってなかったですよね?
……何か理由とかあったんじゃないんですか?」
「…確かに理由はありました。
だから今日ちゃんと全部話します」