170回、好きだと言ったら。
今度はあたしが彼を呼んだ。
「……今でも思うんです。
もし、あたしが《普通》の女の子でいたら。きっと幸せだったんだろうなって」
…その幸せはテルくんがいたらの話だ。
「だけど、あたしは《普通》なんか望んでいないんです」
テルくんは喧嘩をするのが好き。
バイクを走らせたり、仲間とくだらない話をするのも好き。
…だから、あたしの《普通》の世界ではテルくんが隣にいない。危険に遭わせないためにもテルくんはあたしのために距離を置くはずだ。
……そんなの絶対嫌だった。テルくんが隣にいない世界なんて、あたしにとっては何も幸せに感じられない。
「…覚悟は出来ています。とっくの昔に戻れないところまで行ってしまいましたから」